寮長のまなざし➁スマホが見つかった

公開:2025/4/22更新:2025/4/23

本日の学習時間の休憩時間にある寮生が、「先生、スマホ見つかった」と嬉しそうに報告してきた。正確にはキッズ携帯だが、保護者との生命線を入寮早々に失ってしまっていた。
この春に入寮したばかりの寮生で、入寮数日でスマホを紛失していた。そんなのすぐ見つかるだろうと思っていたが、電源も切れており、どこにあるかもわからないまま、本日まで過ごしていた。毎日、学習時間が終わったあとに、照れ臭そうに受付で電話している姿は微笑ましくもあったが、限られた部屋のどこにスマホが隠れたのか不思議でならなかった。

不思議なことはこれだけではなく、ある日、別の寮生が「下着を全部、洗濯機に入れてしまって、今晩の下着の替えがない」と言ってきた。寮に下着の予備もなく、私の下着だとサイズが違い過ぎて貸すと嫌がらせに思われるかもしれない。対応できないことがわかると自分でなんとか工夫してみるとのことだった。

また、別の日には、違う寮生が「洗濯をしてたら、洗濯機に洗剤を入れるのを忘れた。途中で止めたいがパスワードがわからなくて、中断できない」と言ってきた。さすがにパスワードのわからない洗濯機を止める方法までは私も教えられない。

寮生は私の想像を超える日々を送ってくれている。私の想像力が乏しいだけなのか、思わず、「えっー」と言ってしまうことの連続で、本日も右往左往している。

ちなみに冒頭の寮生は、今日は受付の電話を使わずに、保護者に連絡できたようです。最近はジャンパーを使っていないのでポケットを見なかったそうですが、すぐそばでずっと見つけてくれるのを待っていたようです。
「安心してください。スマホ見つかりましたよ」